小さな先輩、 大きな後輩
「運命の出会いかもしれないー」
一度は買いそびれたと思った土地が、9ヶ月後に戸建を建てて売りに出されました。
不動産仲介業 T社に内覧をお願いしました。買いそびれた元の土地の取り扱いをしていたのが縁で、その後も定期的に物件を紹介してもらっていたのです。
成約までは至っていなかったものの、同社の担当者とは、何となく気が合うと感じていました。
メインの担当者は若くて背が高い。明るくて柔らかい感じ。男前といえば男前です。業務経験はまだ浅いのか、下見の時は常に先輩社員と一緒にやってきます。
一方、先輩は小さめ。やや髪が薄めなのですが、実はよく見ると顔はかわいらしい。朴訥な感じで、話す前にじっくり考えながら言葉をつむぎます。
映画かドラマで見たようなデコボココンビは、なにかいい関係性にみえます。でかい後輩は「あんな物件買う人いるんですかね〜」などと、たまに明るく毒を吐いたりする。小さい先輩は寡黙ですれてない感じ。タイプは違うものの、どちらもうそをつかない、本音でしゃべっていると感じる。相談したくなるのです。
運命の出会いはほどなく…
週末、運命の出会いか、と感じたあの物件を内覧する予定でした。しかし子供がインフルエンザにかかり、延期することになりました。
それからほどなくして、物件は他の方の購入が決まったと連絡がありました。
やはり縁がなかったのか。それとも我々に運がないのか。解約後に突然訪れた運命的な物件は、いともあっさりと逃げていったのです。
家の解約で落ち込んでいた私は、さらに追い討ちをかけられた気がしました。
家を探し始めてから、もう1年半が経とうとしていました。いったい他の人はどのくらいの期間で家を見つけるのだろう。Tハウスの担当者に聞くと「平均的には半年くらいかなあ」とのこと。納得して買うのか、妥協して買うのか、どちらなのかとまた聞くと「半々かなあ」とのこと。
これから先、本当に気に入った家は見つかるのだろうか。予算の割に高望みしすぎなのではないだろうか。迷いは募ります。
一方で、妻は注文住宅を建てたいと思い始める。私は中古マンションでも買ってリフォームしたほうがリーズナブルかもなどと考え始めました。
こんな調子で、先行きは一層、不透明感を増していくように思えました。
ただ実はこのとき、家探しのゴールがすぐそこに迫ってきていることに、2人は全く気づいていませんでした。
コメント