いつものように北浦和の貴重な酒屋、横溝酒店で日本酒を探す。いつものように散々悩んで買ったのがこれです。
紺地に金のラベルも素敵ですが、「おりがらみ無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」という小難しい名前もちょっと凄味があります。どこか旨そうに感じるのですが、改めて意味をマジメに調べました。
その前に…味は?
白く濁った色合いからも想像できるように、複雑で濃い味わいがします。ややくせがあり、すっきりはしていないので、好き嫌いがはっきりしそう。特に開栓直後はその傾向が強く、2、3日経つと落ち着きます。
色に騙されているのか、私は乳酸飲料のような味のイメージも感じます。料理にあわせやすい食中酒に向いた酒は淡麗なものが好まれるようですが、真逆ですね。酒だけで楽しめる。
まさにおりがらみ無濾過生原酒だからこその味わいなのです。
おりがらみ無濾過生原酒とは?
おりがらみ無濾過生原酒は次のように分けられます。
- おりがらみ
- 無濾過
- 生
- 原酒
それぞれどういう意味なのでしょうか。
- おりがらみ…おりを取り除かない。おりがからんだ状態で瓶詰めすること
- 無濾過…濾過(ろか)をしない
- 生…火入れをしない
- 原酒…加水をしない
日本酒を作る工程で、通常やることを「しない」ことが多いのですね。もう少し詳しく見てみます。
もう少し詳しくいうと
日本酒を作るとき、米に麹(こうじ)や酵母(こうぼ)を加えてアルコール発酵させると醪(もろみ)ができます。
この醪(もろみ)をしぼって酒を作っていくのですが、このしぼりから後の工程で、「通常やることをやらない」と「おりがらみ無濾過生原酒」になります。
滓(おり)とは
発行した醪(もろみ)をしぼった直後のお酒に残ったお米や酵母などの白い沈殿物を「おり」といいます。この「おり」を取り除かず混ざった酒を「おりがらみ」といいます。
おりがらみは透明な酒と比べて、米の旨味が感じられるものが多いそうです。
濾過(ろか)
酒袋から搾られた日本酒は、脱色や香味の調整のために「濾過(ろか)」という工程に入ります。専用のフィルターを通したり、活性炭を使用するそうです。
濾過をすることで、搾りたての黄色っぽい色が透明になったり、雑味がとれてすっきりした味わいになるようです。でも、逆に本来の味や旨みが消えてしまったりもするとのこと。良し悪し、好き嫌いがありそうです。
生
日本酒は通常、酵素の働きを止めたり、殺菌を目的として「火入れ」と呼ばれる加熱処理を2回行います。この火入れを行わない酒を「生酒」といいます。
飲み比べるとよくわかりますが、生酒はフレッシュ感が楽しめます。
日本酒は生きているので、火入れをしないと瓶詰めした状態でも変化を続けるそう。特に流通技術が低く、冷蔵庫などなかった昔は、火入れをしないと品質が悪くなってしまったのでしょう。現在は冷蔵や輸送の技術が発達したので、生酒を楽しみやすくなったのですね。
私も生酒、大好きです。基本、生酒ばかり買っています。劣化を防ぐために、冷蔵庫に入れないといけません。一升瓶を冷蔵庫に転がしておくと、たいてい家族に怒られます。
原酒
日本酒は通常、出荷前に「加水」をします。出来立てそのままだとアルコール度数が20%ほどあり、飲みごろの15~16%に調整するために加水をするそう。
加水をしなければ、より濃厚な味わいを楽しめるということ。この月山は原酒でも17%程度なので普通の酒よりやや強い程度ですね。
プロファイル
- 銘柄:HAZY MISTY YELLOW 直汲み
- 味:おりの旨味とガス感、爽やかさ
- アルコール度:17度
- 日本酒度:不明
- 米種:五百万石
- 精米歩合:60%
- 酒造:五十嵐酒造株式会社
- 価格:1430円(720ml)
- 開栓後変化:△
- 燗:?
遅くなりましたが、、吉田酒造と月山について
吉田酒造さんは島根で1743年から酒造りをされています。地元の山「月山」には戦国時代に難攻不落で名をはせた「富田城」があったそう。その年一番の出来の酒を「月山」と名付けて殿様に献上していたことが命名の背景にあるそうです。
また地元の名水、硬度0.3の超軟水を使った酒造りにこだわりがあり「フレッシュでキレのある」酒を作られています。
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