前回までのあらすじ
モーレツ不動産仲介業O社を調べてみると、体育会系でメキメキと業績を上げていることがわかった。
方針決め「常盤に家は買えない?」
紹介物件を選ぶにあたり、まずはこちらの希望を伝えました。
- 子供が今の学校に通えること。特に常盤中に入っていた長男は、思春期でもあり転校は避けたい。
- 次男の小学校は転校も覚悟する。
- 北浦和駅か浦和駅から歩けること。できれば15分以内が理想。
- 5人家族なので、4LDKが欲しい。
希望を聞いた若い課長は、北浦和駅を中心とした大きな地図を机の上に広げました。「不動産に関しては私のほうがプロなので説明させてください」と前置きをする姿は頼もしくみえました。
地図の中央には縦にJR京浜東北線が走っており、東と西を真っ二つに分けています。その左半分、つまり西側を、指先で円を描くようにして課長は言いました。
「常盤中の学区はこの辺りですが、常盤で希望の物件を買おうとすると予算オーバーです」
そう言って、今度は右半分、北浦和駅の東側に広がる地域を指差し「このあたりで探しましょう」と言いました。
建っているのは売れ残り
その後、何件か下見をしましたが、気に入った物件はありませんでした。若い課長はドライな雰囲気で、こちらが物件をあまり気に入っていないとみると「これ以上見てもしょうがないですね」とさっさと次に行きます。
しかしそうされると、見終わった物件をぱっさりと切られてしまったような喪失感があります。何となく惜しく思い、どこかで決めないといけない気がするのは、彼が経験から得た方法論にのせられているのか、と思ったりもします。
印象的だった言葉が一つあります。
「いい物件は竣工前に売れます。そうでないのは売れ残り。竣工後に値引されます」
O社の常識なのか、業界の常識なのかはわかりませんが、「そういうものかも知れない」と納得してしまったのでした。ただそうすると、完成物件で内乱できるものは売れ残り?いい物件は内乱しないで買うのか…?
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