これも前出の個人経営の不動産屋さんの言葉です。長身、細身でメガネをかけ、お笑いコンビ「ナイツ」の土屋さんに似ているこの方は、いつもクリーム色のミニクーパーで迎えに来てくれました。
ある物件の内覧中、キッチンに食器洗浄機が無いのを妻が気にした時、こう言われたのです。
「設備はいくらでも変えられます。でも家の場所は変えられません。だから設備よりも、家の場所を重視したほうがいいです」
今から思えば当然に思えます。しかし当時の私にとっては新鮮な指摘でした。家探しのポイント、優先順位が整理できていなかったのです。
大 場所 ← 重要度 → 設備 小
こんな感じでしょうか。
我が家も「リビングの床暖房と食洗機は欲しい」と思っていたのですが「まずは場所」と意識が変わりました。「場所」は「環境」も含むものと考えます。
思い返すと、これに類する出来事がいくつかありました。
風呂にテレビがある家
ある物件には浴室にテレビがついていました。珍しくて最初は感心したのですが、なんとなく違和感もありました。しばらくして理由に気づきました。
その物件は周囲が囲まれ、日当たりが悪い場所にありました。前面道路も狭くて車も入れない。事前に見たチラシのイメージ図が実物とは違い、広々として緑に囲まれた明るい家のイメージだったので、ギャップが大きすぎて特に印象に残ったのです。
つまり浴室テレビは「場所」のハンデを「設備」の良さでカバーするものなのではないか。そう考えると不自然な豪華さに納得がいきました。とはいえ、後から自分で浴室テレビをつけるコストは数万円程度です。環境の悪さと引き換えにするのは割に合わないと感じました。
ルーフバルコニーのある家
家探しを始めた頃は、設備の良さに目をひかれることが多かったように思います。特にルーフバルコニーには憧れました。子供も楽しいようで、喜んで屋上に上がって行きます。
ところで、前述の周囲が囲まれて日当たりが悪い物件にもルーフバルコニーがありました。これも場所のハンデをカバーする意味合いがあったのかもしれません。
その他の物件でも、2階や3階に通常のバルコニーが無い物件で、ルーフバルコニーがありました。屋上が洗濯物を干す場所でもあったのでしょう。とはいえ、毎日1階で洗濯し、屋上(4階)まで運ぶのはなかなか大変ですね。
まとめ
家選びで重視するポイントは人により違いますし、価格とのバランスも大事です。ただ悩んだ時には「設備は変えられるけど場所は変えられない」という事実は、頭を整理して判断する材料になると思います。
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