やはりこのまま家を建てたくない
いろいろと考えた結果「やはりこの土地をこのまま家を建てたくない」ということで夫婦の意見は一致しました。
当初は私だけが不安を口にして、それを聞いた妻が不快感を示す、という状態でした。そりゃそうです。ようやく納得のいく物件を見つけて契約したと思ったら、その直後から「本当によかったのだろうか」と夫が弱音を吐くのですから。
おまけに、仮に解約したら、手付金として既に支払った50万円は返ってきません。日々、細かに節約して過ごしていることを考えると、無駄に浪費するには多すぎる金額です。
そのため間取が嫌だと思っても、すぐに解約にまで踏み切ることはできなかったのです。
そこで妻が提案したのは「建築士に話を聞く」ということでした。
「場所は悪くないが、土地が狭い」
ならば、有能な建築士に頼めば、小さくても効率的で快適に住める家を建ててもらえないだろうか。それが妻の考えでした。
一級建築士に相談する
相談したのはリオタデザインの関本さんです。妻がある雑誌で関本さんのコラムを読み、気になっていたそうです。
実際に訪問し、高い割に狭い土地を買ってしまったこと、設計の工夫で快適な家を建てられないか、といったことを相談しました。
リオタデザイン
一級建築士 関本 竜太さんの設計事務所です。素人の私が言うのも何ですが、既存の概念にとらわれず、個々の土地の条件を活かして、斬新でステキな家を設計されています。
我々の仕事はいわゆる“間取り”をつくることではありません.また単にシンプルにデザインするということとも異なります.すべてが溶け合い,調和した秩序や道筋をそこにつくりたい.クライアントからはずっと前から住んでいたような感覚を覚えると言われることがありますが,それが我々にとっては最高の褒め言葉なのかもしれません.
リオタデザイン ホームページより
建築家の仕事が「いわゆる〝間取〝を作ることではない」という考え方に、ちょっと衝撃を受けました。でも関本さんの話を聞くと、意味がわかります。
建築士から聞けたこと
土地は高い
まず、我々が購入した土地の値段を聞いて、少々驚かれました。
「坪単価で考えると、東京でも買えるような値段ですね」とのこと。自分でもうすうす感じていたことなので「やっぱり」という感じ。
家を建てられなくはない
15坪程度、建ぺい率60%、容積率160%の土地に3階建なら、計算上は5人家族で住むのに足る家を建てることは可能とのことでした。
「例えばクローゼットを各部屋に作るのではなく、ファミリークローゼットとして一ヶ所にまとめたり」
なるほど。
いわゆる普通の戸建にはない工夫で、限られたスペースでも快適に暮らすことはできそうです。そこは期待していた通りでした。
ちなみに狭小地におけるリオタさんの過去の建築で、特に印象的だったのはこちらの家。
土地の広さ23坪、建ぺい率50%、容積率80%という条件に、クルマ2台と4人家族が暮らす家です。
LDKの真ん中にスケルトン階段があったり、天井から床が吊り下げられたり、かなりアクロバティックなのですが、家主は大満足だったそうです。
たしかにすごい。限られた条件でこの家が建てられたら素晴らしい。
注文住宅の相場
では、我々の想定する広さで注文住宅を建てるといくらくらいなのか。あくまでも参考の価格を聞くと、O社で建てる場合の2倍くらいでした。予想していたこととはいえ、完全に予算オーバーです。
逆にO社の価格が安過ぎてびっくりされました。
土地に使うお金、家に使うお金
それでも何とか注文住宅を安く建てられないだろうか、と相談する中で
「同じお金を土地に使うか、家に使うか」
が話題になりました。
例えば100万円あったとして、それを家の設備や内装などに使うと、結構いろいろなことができる。逆に言うと、建築料を安くしようとしていろいろ削っても、さほど安くならないのに、とてもチープな家になってしまう。
つまり「土地にお金をかけすぎるより、家にかけたほうがよいのでは」ということでした。契約してしまった家はバランスが悪いのかもしれません。
結論
話をひととおり聞いた関本さんは
「あくまでも私の考えだけど、2人のお話を聞くと、今回の物件は買わないほうがいいように思う」
と言ってくれました。
このままO社で家を建てたくないと思っていた私は、背中を押してもらったようでほっとしました。
しかしながら、家探しの苦しみはこの先まだまだ続くのでした。
コメント
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